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ニュイ・ブランシュKYOTO2022参加企画 松谷武判・神野立生-パリで出会った二人展-
1F・2F【ニュイ・ブランシュKYOTO2022参加企画
松谷武判・神野立生-パリで出会った二人展-】
2022年9月20日(火)~10月2日(日)
〈9/26(月)休廊〉※10/1(土)22時まで
'50年代から'60年代関西を拠点に活動し、現在は国際的に注目を集める具体美術協会。その会員であった松谷武判は、1966 年に京都市美術館で開催された第 1回毎日美術コンクール展(関西日仏学館・毎日新聞京都支局主催)でグランプリを受賞し、フランス政府給費留学生として渡仏。以来56年間、パリを拠点に国際的に活躍。2017年ベネツィアビエンナーレに招待出品、2019年パリ・ポンピドゥセンターによる企画個展開催。
同じくフランス政府給費留学生として'72年に渡仏し、現在は作家活動の他、日本最大級の銅版画工房「アトリエ凹凸」を主宰するなど、日本を拠点に活躍する神野立生。
パリで出会って以来 50 年にわたり親交を深められたお二人の展覧会を、ゆかりの地京都で開催いたします。
お二人のフランス留学のきっかけとなった関西日仏学館(現、アンスティチュ・フランセ関西)と京都市が主催するニュイ・ブランシュKYOTO2022への参加が決まり、アンスティチュ・フランセ関西の共催により、同館稲畑ホールでのトークが実現することとなりました。現代日本を代表する国際作家の一人として活躍される松谷武判の存在と、50年に渡るお二人の活動の軌跡を作品展とトークイベント、二つの場でどうぞお楽しみ下さいませ。
ギャラリーヒルゲート
松谷 武判 Takesada Matsutani
1937 大阪市阿倍野区に生まれる
1960 新製品ビニール接着剤“ボンド”に興味を持ち、絵のマチエールに使用し始める
1960 第9回具体美術展に初出品(大阪高島屋)
以後1972年の具体美術協会解散まで全展に出品
1963 具体美術協会会員に推挙
1966 フランス政府留学生選抜第一回毎日美術コンクール
(京都市美術館)でグランプリ受賞
以降、現在までパリを拠点に活動を続ける
1967 S・W・ヘイターの版画工房アトリエ17に入門、69、70年と助手を務める
1970 アトリエ17を辞し、モンパルナスにシルクスクリーン版画工房をつくる
主な個展
1993 「松谷武判展'60年代から今日まで」 西宮市大谷記念美術館(兵庫)
1999 「松谷武判の版画 絵画」 芦屋市立美術博物館(兵庫)
2002 「松谷武判展」 ケアンズ州立美術館(ケアンズ、オーストラリア)
2007 「松谷武判 回顧展」 アンドレ・マルロ文化センター
(アジャン、フランス)
2010 「流動」 神奈川県立近代美術館(鎌倉)
2012 椿近代画廊(東京)
2015 「CURRENTS 松谷武判の流れ」西宮市大谷記念美術館(兵庫)
2018 ギャラリーほそかわ(大阪)
2019 「Takesada Matsutani」ポンピドゥーセンター(パリ、フランス)
2022 Hauser&Wirthギャラリー(ニューヨーク、米国)
主なグループ展
1968 「第1回パリ国際版画ビエンナーレ展」パリ市立近代美術館(フランス)
2012 「国立新美術館開館5周年「具体」-ニッポンの前衛 18年の軌跡」国立新美術館(東京)
2017 「第57回ベネチアビエンナーレ国際展 ’VIVA ARTE VIVA’」(イタリア)
2018 「CONFLUENCE Aliska Lahusen and Takesada Matsutani」
日本美術技術博物館(ポーランド)
神野立生 Ritsuwo Kanno
1946 兵庫県西宮市に生まれる
1969 京都市立美術大学日本画科卒業
1972 京都市立芸術大学専攻科日本画専攻修了
1972~'74 フランス政府給費留学生として渡仏
1973 Ecole Nationale Supérieure des Arts-Décoratifs de Paris 壁画科卒業
1973~'74 Atelier17(銅版画工房)にて制作
1975 銅版画工房アトリエ凹凸開設
1982~'89 毎日新聞 岡部伊都子随筆「賀茂川のほとりで」
銅版画によるカット
1982~2011 朝日カルチャ-センタ-(大阪)講師
2009 特定非営利活動法人アトリエ凹凸開設
個展
1983年以来、番画廊(大阪)・ぎゃらりいセンターポイント(東京)・ ギャラリーアライ(西宮)・ 画廊ぶらんしゅ(池田)・ ギャラリー北野坂(神戸)
・土屋現代画廊(大阪)・LADS GALLERY(大阪)・椿近代画廊(東京)他で、個展多数
主なグループ展
1988, 90, 92, 07 兵庫の美術家(兵庫県立近代美術館)
2008, 12, 15,18 「日仏交流版画展/Exposition Franco-Japonaise d'estampes」 Cité Internationale des Arts/Paris アトリエ凹凸主催
2010 アトリエ凹凸 1975~2010(西宮市立市民ギャラリ-)
2015 アトリエ凹凸日仏交流版画展+40 周年記念展(西宮市立市民ギャラリ-)
2017, 19, 21 OUTOTSU 版展(西宮市立市民ギャラリ-)
2018, 20, 22 OUTOTSU 版展(東京都美術館)
トーク&スライド上映
「フランス在住の美術家、 松谷武判が語る」
10月2日(日) 14:00~16:00
会場:アンスティチュ・フランセ関西 稲畑ホール
(京都府京都市左京区吉田泉殿町8)
参加費無料、 定員60名(要予約) ※満席になりました。
(ご予約、お問い合わせはギャラリーヒルゲートまで)
共催 アンスティチュ・フランセ関西
協力 藤原次郎映像作品制作委員会
司修展ー絵本『まちんと』原画他
1F・2F【司修展-絵本『まちんと』(文・松谷みよ子/偕成社刊)原画 他】
9月6日(火)~9月18日(日) 〈9/12(月)休廊〉
12:00~19:00(最終日~17:00)
松谷みよ子さん
いま どこですか。
坪田譲治さんとお会いして、笑いながら、
つもりつもった話をされているのでしょうか。
民話採訪の旅や、黒川能を観る旅や、黒姫の山小屋や、広島への取材旅行も、楽しさといっしょに、戦争のこと、原爆のこと、命のことなど考える旅でした。アウシュヴィッツへは、ぼく一人で取材しましたが、『私のアンネフランク』のゲラを読みながら、戦争の狂気、残酷、悲惨などを、全身で感じてまいりました。
松谷みよ子さん
ヒロシマの
ナガサキの
オキナワの
悲しみを、
苦しみを、
命を、物語り、新しい人たちへ、新しく生きる道を、考える道を、示してくださった。
手をにぎりあうように、水を飲むように、歌をうたうように。
まちんと
すこし むかし
ちいさな子が
もうじき 三つになる子が
広島に すんでいて
昭和二十年八月六日の朝
げんしばくだんに
おうたげな
たった いっぱつの
ばくだんだったけれど
いっしゅんのうちに
まちは もえあがり
いっしゅんのうちに
まちは くずれおち
人も ほのおともえ
いきのこった 人びとは
やけただれて
さまよった
黒い雨は
そのうえに
ふりそそぎ ふりそそぎ
その子も
くるしみながら ねかされて
トマトを 口に いれてやると
まちんと まちんと
といって ほしがった
ちょっとまってねえ
トマトを さがしてくるからねえ
その子の おかあさんは
そういって さがしにでたけれど
くずれ やけおちたまちに
トマトはなかった
たった ひとつでいいから
トマトを………トマトを………
ようやく ひとつみつけて
もどったとき
その子は もう死んでいた
まちんと まちんとと
いいなが
死んでいったげな
その子は 死んで
鳥になったげな
そうして いまがいまも
まちんと まちんとと
なきながら
とんでいるのだと
ほら そこに………
いまも………
絵本ができてから、ぼくは広島へ何度も行きました。爆心地近くの、本川小学校は、約四百人の小学生が爆死しています。その原爆資料館で、低学年の副読本として『まちんと』を使っていると、本川小の先生から聞きました。子どもたちの感想文も読みました。松谷さんが伝えたかったことが、幼い子らに伝わっていたのです。
『まちんと』は、松谷さんが、伝説を探る旅で聞いた、現代の民話でした。死んだ子の魂が、鳥になるという、昔話の型をもっていたといいます。
ほら そこに………
いまも………
と呼びかけた松谷みよ子さんも、
鳥になって、まちんと まちんと
と啼きながら飛んでいらっしゃるのでしょう。
ですから、
さようなら とはいえません。
司 修
(2015年4月4日
「松谷みよ子お別れの会」での弔辞)
司 修(TSUKASA Osamu)
1936 群馬県前橋市生まれ
中学卒業後、独学で絵を描き始める
自由美術協会会員を経て、‘64年主体美術協会の創立に参加
(‘90年より無所属)
1976 『金子光晴全集』の装幀により講談社出版文化賞
1978 『はなのゆびわ』により小学館絵画賞
1986 池田20世紀美術館で〈司修の世界〉展
1989 「バー螺旋のホステス笑子の周辺」が芥川賞候補
1993 「犬」(『影について』所収)で川端康成文学賞
日本橋三越他で朝日新聞社主催「司修挿絵展-小川国夫『悲しみの港』」
同年、第36回安井賞審査員
2007 『ブロンズの地中海』で毎日芸術賞
2008 「両洋の眼展」で河北倫明賞
2011 群馬県立近代美術館で「司修のえものがたり-絵本原画の世界」開催
『本の魔法』で第38回大佛次郎賞
2014 3月『絵本銀河鉄道の夜』(偕成社)刊
6月『幽霊さん』(ぷねうま舎)刊
2015 12月 『Ōe-60年代の青春』(白水社) 刊
2016 第26回イーハトーブ賞受賞(花巻市)
2017 岩波書店『図書』表紙及びエッセイ連載開始
(2021年12月まで毎月)
2020 7月 『空白の絵本-語り部の少年たち-』(鳥影社) 刊
『戦争と美術』『語る絵』『絵本の魔法』『孫文の机』『戦争と美術と人間』等の評論や小説、『まちんと』『河原にできた中世の町』『雨ニモマケズ』他絵本、 『風船乗りの夢』『壊す人からの指令』他の画文集等、著書多数。